酒が人に愛され、誉となる酒造り。
創業120年。島根県中部、広島との県境にある邑南町の酒蔵「池月酒造」では、
「酒は人があまり携わるものではない、醸すものだ。」という先代からの教えを守り、
ふるさとの大地と農家の人たちとの絆の中で、全量「木槽しぼり」で酒を搾り続けています。
酒造りが地元の人に愛され、誉れとなるよう精魂を込めて。
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「この土地で酒を醸す意義」
ー全量地元産の酒米を使用ー
池月酒造では仕込み水と同じ水脈で、蔵から半径15km以内の
水田で育てられた酒米を使い酒造りをします。
酒蔵として、その土地の水と土の味を知り、生育環境を整え、
産地特性を活かせないか考えたのです。
各地域にある農業法人と交渉し、酒米を休耕田で栽培してもらうよう依頼し、
米農家には農業法人として共同で米作りができるように働きかけ、
法人化することで継続的に酒米を供給できる体制をつくりました。
地域で育てた酒米を農家から全量を買い取り、酒を造ることで、
地域資源循環型の仕組みをつくったのです。 -
「超軟水の仕込み水」
ー青く澄む邑南の水ー
自然豊かなこの地域は水も豊かで、池月酒造では天然の湧き水を山中より
蔵内に引き込み、仕込み水として使っています。水質は超軟水。
硬度でみると、京都の伏見が硬度6〜7,新潟は3、静岡が硬度1と言われて
いますが、邑南町の湧き水は硬度0.3程度です。
軟水の特徴は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が少なく、
まろやかで軽い口当たり。その超軟水で仕込むことで、発酵がゆっくりと
進みます。池月酒造では、低温でじっくりと発酵させる吟醸造りの手法を
全銘柄に応用することにより、やわらかくなめらかなで香り高い日本酒を
醸しています。 -
「出雲流 麹造り」
ーさらなる旨さを追求するー
カルシウムが少ないと麹の酵素による米の溶解も弱まり、
アルコール度数の低いきれいな酒質になると言われていますが、
出雲流の麹づくりは総破精型(そうはぜがた)と言われており、
菌糸が蒸米の表面全体にいきわたり、破精込みが深いのが特徴です。
糖化力やタンパク質分解力の強い麹で仕込むことで、
しっかりとした味わい豊かな日本酒を醸します。 -
「木槽搾り 120年の伝統を守る」
ー愛される酒を醸す。池月酒造の責任ー
池月酒造では、全量を木槽(きぶね)で搾ります。
木槽搾りとは、酒袋にもろみを詰めて木製の槽の中に何段にも
積み重ね、もろみ自身の重さで酒を搾る、池月酒造120年変わらぬ
伝統の方法です。
多くの酒蔵で使われている自動醪搾機では半日で終わる作業が、
木槽搾りでは2日半かけて1本分のもろみを搾ります。
技と時間と手間を惜しまず徐々に圧をかけてゆっくりと搾っていく
ので、米の旨味と甘味が引き出された池月酒造の酒が仕上がります。